白眼子 山岸 凉子

  • 北海道で戦後すぐこういう霊能者が本当にいたのかなと思ったら、フィクションだと作者自身が書いているという書き込みがミクシィにあった。藤田乙女(小乙女ではなく)という美少女霊能者(『テレプシコーラ』の千花ちゃん顔)もちらと出てくるし、巧みな虚実とりまぜだ。ホラーではないけれど、解き明かされないままの無意味な細部(『私の人形はよい人形』の、庇の上の子供の足跡や、窓ガラスに張り付いた巨大な鳥の足みたいな)が怖い。自分が落ちた窓からのぞくおばあさん(の夢)は、むしろ微笑を誘いこそすれ怖くない。私はこれを読んだ翌朝、洗濯物を出かけるまでだけでも乾そうと思って二階へ上がり、天井にアレ(本書参照)が見えそうなので階段の上の窓をあけたけれど、夜が明けていなかったので(吉備津の釜か)、ハンガーを鴨居に引っかけいったん戻った。(12/7)

潮出版社 (200606) 600円◆12/5(火)@山下書店 銀座店