快適生活研究 金井美恵子

  • あの『文章教室』の佐藤絵真も、『小春日和』の桃子、花子も、小説家である「叔母さん」も健在、絵真のお父さん渡辺七郎画伯は、あ、それから「現役作家」は鬼籍に入ったけど(『文章教室』でブヴァールとペキュシェ的に文章を引用されていた当時の現役作家、たとえば中村真一郎は死んだけれど、丸谷才一は健在だからまた利用されている)、時は流れて(本当に!)中野勉と桜子には大学生の娘がいる。そして新たな(頼まれたわけでもないのに)「書く」人の群!(現に私もここでやっている。)なんてアクチュアルな小説なんだ! まだ続いてほしいし続くだろうが、さて、そこで、四方田犬彦になれなかった中野勉は、妻の桜子が(親の因果か)イマ風私小説を書いて作家になってしまうという経験をすることになるのだろうか? (10/13)

朝日新聞社(200610)1785円◆10/9(月)@ジュンク堂書店 新宿店